親子の絆の原点を探る~動物たちの場合
心とからだの健康・3月号
~最近、親が子を害し、子が親を害するというような事件が増えている。現代社会において、親子の絆はどうなっているのだろうか。ここでは、動物と深くかかわり続けた筆者の実体験のなかから、その問題点を探り、人間社会の混迷の原因を考える。~
今、私たち人間のつくる社会はかつてない混迷のなかにあるように思われます。考えるだけでもおぞましいような事件が日常のように起きていますし、とくに親が子を害し、子が親を害するというようなことは、長い長い動物の生態進化のなかで、排除されてきたはずの現象で、生き物としてあってはならないもののように思われます。事実、野生動物の厳密な観察を進めますと、動物たちが“種”を維持し、発展させるために、どんなに巧みに親子関係を構築してきたか、に一驚させられるのです。
昔から「焼野の雉(きぎす)夜の鶴」という言葉がありますように、ひなを抱く親鳥は野火に襲われ自分が死の危険にさらされても、巣を離れずに子を守ることが観察されていますし、凍てつく夜に耐えながらひなを守る親鳥の姿は人々の印象に強く残ったのです・・・・・
・・・(以下略)・・・
中川志郎(元上野動物園園長・日本動物愛護協会理事長)
発行・健学社
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